小池都知事が党首を務める希望の党が公約を発表しました。希望の党ホームページには公約9項目と共に、「『希望への道』しるべ」として12項目が「希望の党は12のゼロを目指します」と列挙されています。その9番目に「ブラック企業ゼロ」が挙げられています。そのための具体的政策として「政策集:私たちが目指す『希望への道』」のなかの、「3.中小企業に希望を ~人手不足と公的負担に苦しむ中小企業を徹底支援~」に「若者を苦しめるブラック企業について、残業、休暇、給与などに関する要件を明確化し、該当企業の 名前を公表することにより、『ブラック企業ゼロ』を目指す。」とだけ書かれています。都庁職病院支部執行委員会はこの空疎な公約を批判するものです。
小池都知事の足元にブラック企業はあります。ほかでもない都立病院です。病院支部は違法なただ働きを都立病院から一掃するために全力を尽くしてきました。しかし未だに都立病院には労働基準法違反のただ働きがいまだに蔓延しています。超過勤務を余儀なくされた新人看護師の8.2%しか超過勤務申請ができていない都立病院の実態を放置して、小池都知事が「ブラック企業ゼロ」などと言う資格はないし、小池都知事が代表を務める政党がそれを公約しても信用に値しません。さらに「政策集」では、「残業、休暇、給与などに関する要件を明確化し」と書かれています。都立病院の多くの職員が、ただ働きを強制され、年次有給休暇を取得できずにいます。要件を明確化するだけでは問題は解決できないのはこの都立病院実態を見れば明らかです。
ブラック企業は、都立病院がまさにブラック企業であるように、そして巨大企業電通や公共放送NHKがそうであるように、中小企業だけに認められる問題ではありません。しかし「政策集」ではなぜか「3.中小企業に希望を」の項目に書かれています。労働基準法違反の現実は都立病院や大企業にも存在します。現実を正しく認識していない希望の党に問題の解決はできるわけもありません。 過労死問題に明らかなように長時間労働を規制する労働時間管理は命の問題です。しかし「政策集」では、安倍内閣がもくろんでいる労働法制改悪への立場は曖昧です。そして8番目の「フードロスゼロ」に続く9番目が「ブラック企業ゼロ」です。命の問題が「フードロス」より、6番目に掲げられている「満員電車ゼロ」より重要なのでしょうか。こんな「希望の道」が真っ先に掲げる「原発ゼロ」は信用に値しません。
小池都知事はブラック企業ゼロを言うなら真っ先に自らの足元のブラック企業問題、都立病院のただ働き問題を解決するべきです。 2017年10月10日 都庁職病院支部執行委員会