病院支部声明(2018年1月17日)都庁職病院支部は都立病院の地方独立行政法人化に反対します
都庁職病院支部は都立病院の地方独立行政法人化に反対します
1月17日に行われた病院経営本部の諮問委員会である都立経営委員会が行われ今後の都立病院の経営形態として地方独立行政法人が最もふさわしいとする報告を行いました。地方独立行政法人化では、行政的医療を安定的に提供する都立病院の使命を果たすことはできません。
都立病院独法化は都民の意思ではない
過去直近の都議選、一昨年まで3年連続で行われた都知事選で都立病院の経営形態が争点にはなりませんでした。なぜなら都立病院の経営形態について早急に結論を出さなければならない理由は何もないからです。現に都立病院の経営は、2016年度を除けば黒字経営が続いて極めて安定しています。経営委員会は毎年約400億円の一般会計からの繰り入れを問題にしていますが、都立病院の累積赤字が都政を圧迫しているなどということはありません。都の調査による都民の医療要望トップ3は、「夜間・休日診療や救急医療体制を整備する」の51.0%に続き、「高齢者などが長期療養するための病院や介護施設を整備する」(38.9%)、「地域の中心となる病院を整備する」(36.8%)です。この都民の切実な要望にストレートに応えるには、都立病院の充実こそが必要です。
独法化ではサービスは向上しない
経営委員会では、独法化されれば経営にかかわる意思決定が迅速になり経営が効率化されサービスも向上すると議論されました。しかしこの主張には何の根拠もありません。病院の経営効率化とは2年一度改定される診療報酬制度にいかに対応するかということです。病院が診療報酬に新設された医療を柔軟に提供するためには、新たな人材の確保、つまりは増員が不可欠になります。独法化されれば増員の決定は迅速にできるかもしれませんが、新たに医療人材を確保するには資金が必要になります。この資金が増えなければ人材確保は困難です。独立採算を強制される独法化で、都立直営より運営資金が潤沢になるなどということは決してあり得ません。なぜなら独法化の真の狙いは一般会計からの繰入金の削減にあるからです。繰入金が削減されれば新たな医療人材の確保は困難をきたし、都立病院の医療水準を保つことはできないでしょう。現に先行して独法化された大阪府立病院では、人材確保どころか保育器を購入する予算がなくクラウドファンディングで保育器を購入する事態になっています。経営優先の独法化になれば患者負担増を招きかねません。
独法化は労働条件を悪化させる
一般会計からの繰り入れ削減は労働条件をさらに劣悪化します。現在都立病院ではずさんな労働時間管理が行われ膨大なただ働きが発生しています。独法化され人件費抑制の圧力が強まれば違法なただ働きがさらに広がることは確実です。なぜなら繰り入れが削減されても都立時代と同じ医療を提供すれば、人件費率を下げなければ赤字になってしまうからです。しかし労働条件の劣悪化と非公務員化は早期退職を招き、結果として看護師など医療人材不足を招き医療水準の低下、そして収益の低下につながることは確実です。
2018年1月17日 都庁職病院支部執行委員会